自営業・フリーランス

自営業・フリーランスの資産形成|小規模企業共済×iDeCo×NISAのシミュレーション

自営業・フリーランス向けに、小規模企業共済・iDeCo・新NISAを組み合わせた資産形成プランをシミュレーション。掛金上限・節税効果・出口戦略まで徹底解説します。

更新日2026年4月14日読了時間約10分執筆未来メガネ編集部

自営業・フリーランスの資産形成|小規模企業共済×iDeCo×NISAのシミュレーション

自営業・フリーランスは厚生年金がなく、国民年金だけでは老後資金が明らかに不足します。 その代わり、小規模企業共済・iDeCo・新NISAという3つの強力な制度を使える立場にあります。 本記事では、この3制度を最大限活用した資産形成プランをシミュレーションし、掛金上限・節税効果・出口戦略まで解説します。

自営業・フリーランスの年金事情

会社員は国民年金(基礎)+ 厚生年金の2階建てで、平均受給額は月14.6万円。 一方、自営業は国民年金のみで、満額でも月6.8万円(2025年度)と半分以下です。 この差を埋めるためには、現役時代からの積極的な資産形成が不可欠です。

!自営業の「年金差」を数字で
国民年金のみ(月6.8万円)と厚生年金込み(月14.6万円)の差は月約7.8万円。30年間の現役後で 合計約2800万円のギャップになります。この差額を税制優遇のある3制度で埋めるのが本記事の主題です。

使える3制度の概要

小規模企業共済月7万 / 年84万iDeCo月6.8万 / 年81.6万新NISA年最大360万所得控除合計:年約165.6万円(課税所得400万なら節税 約49.7万/年)※ iDeCo・小規模企業共済は全額所得控除、新NISAは運用益非課税
図:自営業が使える3制度と所得控除の内訳

1. 小規模企業共済

中小機構が運営する、経営者・個人事業主向けの退職金制度です。

  • 掛金上限: 月7万円(年84万円)
  • 掛金全額が所得控除
  • 共済金受取時は退職所得または公的年金等として課税
  • 加入期間20年未満の任意解約は元本割れリスクあり

2. iDeCo(個人型確定拠出年金)

自営業のiDeCo上限は月6.8万円(年81.6万円)と、会社員の約3倍です。

  • 掛金全額が所得控除
  • 運用益非課税
  • 60歳まで引き出し不可
  • 受取時は退職所得控除 or 公的年金等控除

3. 新NISA

会社員と同じ条件で年間360万円、生涯1800万円まで非課税運用できます。

  • いつでも引き出し可能(流動性最強)
  • 運用益非課税(恒久)
  • 所得控除なし

3制度の比較まとめ

制度掛金上限所得控除運用益課税流動性
小規模企業共済月7万円◎ 全額非課税(予定利率1%)× 廃業・退任時
iDeCo月6.8万円(自営業)◎ 全額非課税× 60歳まで不可
新NISA年360万円 / 生涯1800万× なし非課税◎ いつでも
注意:元本割れリスク
小規模企業共済は加入期間20年未満の任意解約で元本割れ、iDeCoは原則60歳まで引き出し不可です。 生活防衛資金を確保したうえで、長期継続できる掛金を設定してください。

3制度フル活用の節税シミュレーション

前提: 年収600万円(課税所得400万円)の個人事業主

  • 小規模企業共済: 月7万円(年84万円)
  • iDeCo: 月6.8万円(年81.6万円)
  • 所得控除合計: 年165.6万円

節税額

所得税率20% + 住民税10% = 合計30%として、年間約49.7万円の節税。 月に換算すると約4.1万円。これだけで大きな家計改善効果があります。 20年間続ければ、節税累計は約994万円です。

資産形成シミュレーション(30歳→60歳)

新NISAも月5万円(年60万円)追加する場合の30年後。

  • 小規模企業共済: 元本2520万円 → 共済金(予定利率1%)約2920万円
  • iDeCo: 元本2448万円 → 評価額(年率4%)約4240万円
  • 新NISA: 元本1800万円 → 評価額(年率4%)約3470万円
  • 節税累計: 約1490万円
  • 合計資産: 約1億2120万円

もちろん月18.8万円の積立は家計を相当に圧迫しますが、所得控除による手取り減少は約13万円に抑えられます。 税制優遇が自営業にとって極めて強力な武器になることがわかります。

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優先順位の考え方

1番目: iDeCo 満額まで

所得控除と運用益非課税の両方を享受できるため、最も効率が高い制度です。月6.8万円まずここから埋めます。

2番目: 小規模企業共済

所得控除メリットは同じですが、予定利率1%と運用としては弱めなので、iDeCoの次に位置付けます。 ただし廃業時の退職金としての意味合いが強く、事業継続リスクのヘッジにもなります。

3番目: 新NISA

所得控除はないものの、流動性が高く運用益非課税。余剰資金でできる範囲で積み立てます。

出口戦略の注意点

退職所得控除の重複問題

小規模企業共済・iDeCo・退職金を一時金で受け取る場合、退職所得控除は10年以上間隔を空けないと重複利用できません(2026年1月施行の「10年ルール」。従来の「5年ルール」から延長)。 例えばiDeCoを60歳で一時金受取、小規模企業共済を70歳(廃業時)で一時金受取とすると、間隔10年で両方の退職所得控除をフル活用できます。間隔が10年未満の場合は2回目の控除が縮小されるため、受取タイミングの設計が重要です。

年金受取との使い分け

一時金で受け取ると退職所得控除、年金形式で受け取ると公的年金等控除が使えます。 資産額と他の収入状況で有利な方法は変わるため、税理士や未来メガネでシミュレーションして決めましょう。

よくある質問

3制度すべてやる余裕がありません

iDeCoの所得控除メリットが最大なので、月1〜2万円でもまずiDeCoから始めるのがおすすめです。

小規模企業共済は元本割れが怖いです

加入期間12か月未満の任意解約は元本割れ、20年未満でも若干の元本割れリスクがあります。長期継続できる範囲で掛金を設定しましょう。

売上が減った年は掛金を減らせますか?

小規模企業共済は月1000円単位で減額可能、iDeCoも年1回減額可能です。柔軟に調整できます。

法人化した場合はどうなりますか?

法人化しても小規模企業共済は継続可能(役員として)、iDeCoは企業年金の有無で上限が変わります。法人化のタイミングで制度設計の見直しが必要です。

事業形態別 老後キャッシュフロー試算

同じ「自営業」でも、年収・事業継続意思・廃業時期によって最適なプランは大きく変わります。 代表的な3パターンを示します。

パターンA: 35歳・年商800万・課税所得450万・廃業65歳予定

  • 小規模企業共済 月7万 × 30年 → 元本2520万、共済金約2920万
  • iDeCo 月6.8万 × 25年(60歳まで) → 元本2040万、評価額(年4%)約3500万
  • 新NISA 月3万 × 30年 → 元本1080万、評価額(年4%)約2080万
  • 節税累計: 約750万円(税率28%換算)
  • 65歳時点の総資産(税引前): 約8500万円

国民年金満額(月6.8万)と合わせ、月20万円程度の取り崩しでも 90歳超まで持つ計算になります。

パターンB: 45歳から開始・年商1200万・課税所得700万・廃業60歳予定

  • 小規模企業共済 月7万 × 15年 → 元本1260万、共済金約1380万
  • iDeCo 月6.8万 × 15年(60歳まで) → 元本1224万、評価額(年4%)約1670万
  • 新NISA 月10万 × 15年 → 元本1800万、評価額(年4%)約2470万
  • 節税累計: 約750万円(税率35%換算で年75万 × 10年相当)
  • 60歳時点の総資産: 約5520万円

開始が遅いとどうしても運用期間が短くなりますが、課税所得が高い人ほど節税効果は大きいため、 税引後の手残りで見れば積立は十分に元が取れます。

パターンC: 共同経営者2名・課税所得900万 × 2人

  • 共同経営者は1人につき2人まで小規模企業共済に加入可能
  • 2名 × 月7万 → 月14万円が小規模企業共済掛金として所得控除
  • iDeCo 2名 × 月6.8万 → 月13.6万円が所得控除
  • 合計年間所得控除 約330万、節税効果 年100万円超

共同経営者(配偶者の専従者を除く)が活用できれば、世帯ベースでは会社員世帯の約3倍の節税枠を使える計算です。

受取時の出口戦略:3制度を同年に一時金で受け取らない

自営業の最大の落とし穴が「受取時の税金」です。退職所得控除には年数管理ルールがあり、 間隔を空けずに複数の一時金を受け取ると控除が大幅に縮小されます。

  • iDeCoを先に受け取った場合: 2026年1月以降は「10年ルール」が適用され、以後10年以内(法令上は「前年以前9年以内」)に別の退職金・共済を一時金で受け取ると退職所得控除が重複期間分調整されます
  • 小規模企業共済・退職金を先に受け取った場合: 以後19年以内にiDeCoを一時金で受け取ると控除が縮小(19年ルール)
  • 推奨戦略: iDeCoは60歳一時金、小規模企業共済は廃業時(70歳前後)に受け取り、間に10年以上空ける(旧5年ルールでは不十分)
  • またはiDeCoを年金形式(公的年金等控除を使う)で受け取り、小規模企業共済を一時金にする組み合わせ

具体的なシミュレーションは退職所得控除の出口戦略記事で解説しています。 税負担を最小化するには、現役時代の積立と同じくらい受取設計が重要です。

取り崩しの順序設計

老後に取り崩す段階では、税効率の観点から現金 → 特定口座 → NISA → iDeCoの順で取り崩すのが基本です。流動性の高い現金から使い、課税口座の含み益を計画的に実現しつつ、 NISAとiDeCoの非課税枠をできるだけ長く残すためです。 ただしiDeCoは70歳までに受給開始する必要があり、小規模企業共済は廃業時に受け取るため、 実務的には個別事情で順序が変わります。 未来メガネの「現金不足時の補填順序」機能で、複数パターンを試してみてください。 詳細はNISA・iDeCo・特定口座の取り崩し順序を参照してください。

まとめ

自営業・フリーランスは年金の薄さを補うため、3制度の税制優遇を最大限活用するのが鉄則です。 ただし「積み立てて終わり」ではなく、受取時の控除重複・取り崩し順序まで設計することで、 最終的な手取りが数百万〜1千万円単位で変わります。 自分のケースでいくらの資産が作れるのか、未来メガネで 小規模企業共済・iDeCo・新NISAを別々のリスク資産・安定資産として登録してシミュレーションしてみてください。

この記事について

執筆・編集
未来メガネ編集部
運営
ネットウィズ合同会社
最終更新日
2026年4月14日
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本記事は2026年4月時点の情報に基づきます。税制・制度は変更される可能性があります。実際の判断は税理士・FPに相談してください。将来の投資成果を保証するものではなく、最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。

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